保険適用対象のインプラントについて
2.保険適用対象のインプラント
乳房再建に使用するインプラントにはさまざまなタイプがあり、現在よく使われているのは、形状では「アナトミカル型(しずく型)」、表面の加工方法では「テクスチャードタイプ(凸凹加工)」、内容物では「コヒーシブタイプ」とよばれるものです(代表的なインプラントの種類はこちら)。
2013年7月に、下の写真のうち上の2種類がまず保険適用となり、2014年1月8日からアナトミカル型でテクスチャードタイプかつ内容物がコヒーシブタイプのインプラントにも保険の適用が始まりました(3番目の写真)。これにより、乳がんによる乳房切除手術を受けた患者さんがこれらのインプラントを乳房再建に使用する場合は原則3割の自己負担となります。
●インプラント
・ラウンド型(テクスチャードタイプ) 被膜拘縮(インプラントの周囲に被膜ができ組織が硬くなる免疫反応の一種)を起こしにくいテクスチャードタイプ(表面が凸凹加工)のものですが、形状はラウンド型(丸いおわん型)で、内容物はやや流動性の高いシリコンジェルです。 |
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・ラウンド型(スムーズタイプ) 表面がつるつるしており、テクスチャードタイプに比べて被膜拘縮を起こしやすいため挿入後はマッサージが必要です。形状はラウンド型、内容物はやや流動性の高いシリコンジェルです。 |
・アナトミカル型(テクスチャードタイプ)
※写真提供:アラガン・ジャパン㈱
●ティッシュエキスパンダー
テクスチャードタイプ(アナトミカル型) 乳房下方の皮膚をより自然な形に拡張することができます。 |
(アナトミカル型インプラント以外の写真は、
厚生労働省 中央保険社会医療協議会総会資料 2013.6.12付 より)
《参考》
◎代表的なインプラントの種類
- 形状
ラウンド型 丸いおわん型
アナトミカル型 下方が自然なしずく型 - 表面加工方法
テクスチャードタイプ 表面に不規則に細かな凹凸があり被膜拘縮が起こりにくい
スムーズタイプ 表面がつるつるしており、被膜拘縮が起こりやすいため挿入後はマッサージが必要 - 内容物
コヒーシブタイプ 粘度が高く、万一破れても外に漏れ出しにくいシリコンジェルを入れたタイプ。マンモグラフィ検査も可能
ジェルタイプ やや流動性の高いシリコンジェルを入れたタイプ
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乳房再建手術を行う医師には熟練した技術と経験が必要とされ、再建手術を数多く手がける形成外科医がいる認定病院で手術を受けることが望ましいのはいうまでもありません。認定制度によって、これからインプラントによる乳房再建を行う医療機関も増えていくと思われますが、保険適用による手術をお考えの患者さんには、技術と経験に優れた医師のいる認定病院を選択し、ご自身にとって最も納得できる方法を見つけることが何よりも重要です。そうした患者さんたちに少しでもお役に立てるよう、E-BeCサイトでもできるだけ最新の情報をお伝えしてまいります。