• 公開日2021.02.28
  • 最終更新日 2022.06.24

《第4章》 乳頭乳輪の再建

乳がん手術で失った
乳頭・乳輪は再建できますか

乳がん手術で乳頭・乳輪を切除しても、再建できます。いずれも日帰り手術が可能です。

1:乳頭・乳輪の再建手術の前に知っておきたいこと

手術のタイミング

乳頭・乳輪は、通常、乳房のふくらみをつくったあと、乳房の状態が落ち着くころ(半年後くらい)に再建します。

2:おもな術式

乳頭・乳輪の再建は、患者さんの希望や乳頭・乳輪の状態などを勘案し、移植、局所皮弁、タトゥーなどを組み合わせて行います。

乳頭

❶移植
切除していない健側の乳頭を切って移植する。
健側乳頭の切り方はイラストの方法以外にもくさび形、L字形などがある。

移植

❷局所皮弁
乳頭をつくる部分の皮膚を星形などに切って立ち上げ(皮弁)、まるめて縫い合わせ乳頭をつくる。

局所皮弁

乳輪

❶皮膚移植 健側の乳輪や鼠径部の皮膚を移植する。

❷タトゥー 乳輪部分にタトゥーで着色を行う。タトゥーで着色する場合、半年ほどで色が薄くなることがある。必要に応じて色を足すことも可能。なお、医療用タトゥーで染色した場合、MRI検査に影響は出ない。

主治医の考えや患者さんの希望によりさまざまですが、以下のような組み合わせが考えられます。

乳頭 + 乳輪
1 健側からの移植 + 健側乳輪からの移植
2 健側からの移植 + 鼠径部からの皮膚移植
3 健側からの移植 + タトゥー
4 局所皮弁・タトゥー + タトゥー
5 局所皮弁・鼠径部からの皮膚移植 + 鼠径部からの皮膚移植

※乳頭の芯に患者さんの軟骨を使用する場合もあります。

なお、再度メスを入れたくない場合や、乳頭・乳輪の再建を迷っている場合は、手術せずに乳頭・乳輪を立体的に見せる「3Dタトゥー」という方法もあります。また、人工の乳頭・乳輪もあります。

費用

乳頭の移植、局所皮弁、および乳輪への皮膚移植は、いずれも健康保険の適用対象となります。タトゥーは保険診療の対象外で自費診療(全額自己負担)となるため、医療機関によって費用は異なります。

乳頭移植または局所皮弁 約7万円
乳輪の皮膚移植 約10万円
タトゥー 約5〜20万円

したがって乳頭、乳輪とも自家組織で再建すると、上記金額の3割負担で6万円程度となります。

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