乳がん手術で失った
乳頭・乳輪は再建できますか
乳がん手術で乳頭・乳輪を切除しても、再建できます。いずれも日帰り手術が可能です。
1:乳頭・乳輪の再建手術の前に知っておきたいこと
手術のタイミング
乳頭・乳輪は、通常、乳房のふくらみをつくったあと、乳房の状態が落ち着くころ(半年後くらい)に再建します。
2:おもな術式
乳頭・乳輪の再建は、患者さんの希望や乳頭・乳輪の状態などを勘案し、移植、局所皮弁、タトゥーなどを組み合わせて行います。
乳頭
❶移植
切除していない健側の乳頭を切って移植する。
健側乳頭の切り方はイラストの方法以外にもくさび形、L字形などがある。
❷局所皮弁
乳頭をつくる部分の皮膚を星形などに切って立ち上げ(皮弁)、まるめて縫い合わせ乳頭をつくる。
乳輪
❶皮膚移植 健側の乳輪や鼠径部の皮膚を移植する。
❷タトゥー 乳輪部分にタトゥーで着色を行う。タトゥーで着色する場合、半年ほどで色が薄くなることがある。必要に応じて色を足すことも可能。なお、医療用タトゥーで染色した場合、MRI検査に影響は出ない。
主治医の考えや患者さんの希望によりさまざまですが、以下のような組み合わせが考えられます。
乳頭 | + 乳輪 | |
---|---|---|
1 | 健側からの移植 | + 健側乳輪からの移植 |
2 | 健側からの移植 | + 鼠径部からの皮膚移植 |
3 | 健側からの移植 | + タトゥー |
4 | 局所皮弁・タトゥー | + タトゥー |
5 | 局所皮弁・鼠径部からの皮膚移植 | + 鼠径部からの皮膚移植 |
※乳頭の芯に患者さんの軟骨を使用する場合もあります。
なお、再度メスを入れたくない場合や、乳頭・乳輪の再建を迷っている場合は、手術せずに乳頭・乳輪を立体的に見せる「3Dタトゥー」という方法もあります。また、人工の乳頭・乳輪もあります。
費用
乳頭の移植、局所皮弁、および乳輪への皮膚移植は、いずれも健康保険の適用対象となります。タトゥーは保険診療の対象外で自費診療(全額自己負担)となるため、医療機関によって費用は異なります。
乳頭移植または局所皮弁 | 約7万円 |
乳輪の皮膚移植 | 約10万円 |
タトゥー | 約5〜20万円 |
したがって乳頭、乳輪とも自家組織で再建すると、上記金額の3割負担で6万円程度となります。
ハンドブックはこちらからダウンロードできます
Webサイトの情報以外に乳がん患者さんのためのQOL向上ガイドなども掲載されているハンドブックを無料でダウンロードすることができます。
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