• 公開日2021.06.20
  • 最終更新日 2023.05.16

乳房再建医の声

患者さんの希望や不安、すべて受け止め、最善の術式を提案したい

武藤真由(むとうまゆ)
Lalaブレスト・リコンストラクション・クリニック横浜
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科

術式:
・自家組織(穿通枝皮弁 ドナーは腹部・大腿部)
・インプラント
・脂肪注入
標準手術時間:
・自家組織 穿通枝皮弁 8~10時間
・エキスパンダー挿入 1時間
・脂肪注入 2時間弱
標準入院日数:
・エキスパンダー、インプラント入れ替え  5~7日
・自家組織 穿通枝皮弁 1週間~10日
・脂肪注入  日帰り
乳頭・乳輪再建の時期:
・自家組織の場合は、1年経過してから再建
・インプラントの場合は、9か月経過してから再建
・乳頭:健側移植または局所皮弁
・乳輪:植皮あるいはタトゥー
主要勤務先の診察日:
・火曜、木曜午前、土曜午前(要予約)
・水曜 横浜市立大学附属市民総合医療センター
※初診を受け、術式が穿通枝皮弁やインプラントとなった方は横浜市立大学附属市民総合医療センターを紹介

乳房再建に取り組んだきっかけは、患者さんの一言

10年ほど前、横浜市立大学附属市民総合医療センターの佐武利彦先生(当時)のもとで、患者さんにエキスパンダーを入れる機会がありました。その方は乳がん手術後とても気を落とされ、休職している状況だったのですが、エキスパンダーを入れたことでとても元気になり「これを機に仕事に行けるようになりました」と話してくれました。

自分でも誰かの背中を押すようなことができるのだと思えて、大変うれしかったことを覚えています。この経験がきっかけで、乳房再建を専門にしたいと思うようになりました。

乳房再建は、“前向きになるための一つの手段”

患者さんによって状況はさまざまで、再建をしなくてもハッピーに過ごしている方もいらっしゃるので「乳房再建がすべて」とは思っていません。

ただ再建することで、乳がん治療をする前と同じような生活ができる、気にせず日々を過ごせる、乳房再建は〝前向きになるための一つの手段〟なのではないかと思っています。

また、これから乳がん手術を受ける方も「乳房再建という方法がある」ということで希望を感じてくださるので、それが乳房再建の意義だと思っています。

患者さんとじっくり話しながら、最善の術式を提案

最初に、患者さんの生活環境や年齢、再建に対する希望や不安に思っていることなど伺います。どの再建方法にすべきか迷っていらっしゃる方には、それぞれの再建方法のよいところ、悪いところをすべてお伝えしますので、初診時は1時間程かけて患者さんとお話しします。時間をかけてじっくりお話ししているためか、多くの患者さんは次の受診の時には術式を決めて来られます。

術式については、患者さんとお話ししながら選びますが、患者さんが希望されても、身体の状態によってはその術式を選択できないこともあります。再建手術は人生で何回もする手術ではありません。不安や疑問に思っていること、分からないことなどなんでも話していただき、後悔しない選択をしていただきたいと思います。

また再建治療を進めるにあたっては、乳腺外科の主治医と連携することが大切です。今後も乳がんの術後の経過をみていただく乳腺外科の先生に、患者さんがどういう再建を行うのか、情報共有をするためです。初診のときに紹介状があるのが望ましいですが、患者さんの中には主治医に言いにくいという方もいますので、必須にはしていません。しかし手術を開始する前には、必ず紹介状をいただくようにしています。

希望する患者さんに、乳房再建手術の適用を拡大したい

穿通枝皮弁、インプラント再建に加えて、2012年頃から、前述の佐武先生とともに乳房全摘後に脂肪注入だけでお胸をつくる再建手術を、いち早く海外から取り入れ、多くの患者さんに行ってきました。

脂肪注入は、小さい傷あとで、自分の脂肪で温かく柔らかい乳房が再建できます。複数回の治療はかかりますが、数ミリの傷で自分の組織で再建できるメリットは大きいと考えます。一方で、脂肪注入による再建を「魔法のような治療」だと思っている患者さんもいますが、決して魔法ではなく難しい点、解決しなくてはならない課題もあります。

ただ当院には、「ほかの病院で脂肪注入ではできないと言われた」と相談にいらした患者さんで、脂肪注入による再建ができたケースもあり、乳房再建手術の選択肢を狭められている患者さんもいると感じます。どの再建方法に対しても言えることですが、いろいろな医師の話を聞き、正確な知識を得ることが大切です。
これまでも、当初は脂肪注入での再建が難しいと考えていた患者さんに対して、幹細胞を加えた脂肪注入など、選択肢を増やしてきました。これからも患者さんの適用を拡大していければと思っています。

再建を希望されている患者さんの状況は、仕事や育児で忙しい、ある程度まとまった時間があるなど多種多様です。そういったご自身の状況や再建に対する希望など、すべてお話ししていただき一緒に再建方法を選択していけたらと思います。

私は、左右対称で自然できれい、そしてなにより患者さん自身が乳がん手術前と変わらない生活を送れるような乳房を再建できるよう、日々診療にあたっています。再建手術に不安を抱えている患者さんは多いと思うのですが、再建をきっかけに前向きになれる、そんなお手伝いができたらと思っています。なにかあればご相談ください。

(2021年5月 オンライン取材 2023年4月更新)

 

名称 Lalaブレスト・リコンストラクション・クリニック横浜
所在地 〒231-0015 神奈川県横浜市中区尾上町3-28 横浜国際ビル9F
診察時間 火、木午前、土曜午前 10:00〜17:00 ※2021年5月現在の情報です。受診される際は病院にご確認ください。
休診日 月曜日・水曜日・日曜日・祝祭日
TEL 045-228-8172
URL https://lala-brc.jp/

このサイトは、医療に関するコンテンツを掲載しています。乳がんや乳房再建手術に関する各種情報や患者さん・医療関係者の談話なども含まれていますが、その内容がすべての方にあてはまるというわけではありません。 治療や手術の方針・方法などについては、主治医と十分に相談をしてください。

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