「乳がんを美しく治すことは患者さんの権利です」南雲吉則医師
南雲吉則(なぐもよしのり) ナグモクリニック総院長
術式 : インプラント
連携病院 : 豊見城中央病院(沖縄県豊見城市)
標準手術時間 :一次的一期再建(乳がん手術と同時に再建)= 約1時間半
エキスパンダー挿入 = 40分
標準入院日数 :一次的一期再建 = 1泊、エキスパンダー挿入=通院
乳頭・乳輪形成 : 乳がん切除から半年経過以降を目安に実施。
乳頭形成は主に健側からの移植。乳輪はタトゥー
乳房の”美と健康と機能”すべてに関わる医療をめざして
乳房再建手術と最初に出会ったのはいまから25年以上も前のことです。大学を卒業して東京女子医大の形成外科から慈恵医大の外科に移った際、形成外科での経験を買われて乳腺班に配属され、初めて乳房再建手術の執刀を経験。その後しばらく派遣されていた癌研究会付属病院外科でも多くの乳がん患者さんとお会いしましたが、当時の日本は乳房温存療法がようやく緒についたばかりのころ。ほとんどの患者さんは乳房を全摘しており、「胸が取り戻せるならぜひ再建手術を受けけたい」と希望する方がたくさんいました。
私が“女性のバストの美と健康と機能”すべてに関わる医療を手がけたいと考えるようになったベースには、あのとき乳房再建手術を受けて心から喜んでいた患者さんたちの存在があるのは間違いありません。
より多くの患者さんに再建のチャンスを開いた保険適用
これまで「乳房再建手術」は費用も時間もかかるものとされ、そのために再建手術を断念する患者さんは少なくありませんでした。2013年7月から一部のインプラントと乳房再建用のティッシュエキスパンダーの使用について保険の適用が始まり、手術へのハードルが下がったことは、いままで再建の機会を待っていた患者さんたちに大きな朗報となりました。
私自身、これまでは皮下乳腺全摘の一次的一期再建(乳がん手術と同時に再建)を中心に手がけてきましたが、当院の全国6カ所の拠点のうち東京、名古屋、大阪の医院で保険適用手術の実施施設認定を受けましたので(2013年8月現在)、保険による再建を望まれる患者さんには、今回保険適用になったアナトミカルタイプのティッシュエキスパンダーの挿入も行っています。近い将来アナトミカル型のインプラントが保険適用の認可を受けた段階で、エキスパンダーからインプラントへの入れ替えを行うことで、より多くの患者さんたちに保険のメリットを享受してもらえたいと考えています。
チャンスが広がるいま、自らも情報を収集して納得のいく再建手術を!
少し前までは、乳房温存手術が早期乳がん手術の第一選択でした。しかし無理な温存による局所再発や乳房の変形といった問題が指摘され、現在では温存手術はやや減少に転じ、かわって全摘手術を選ぶ方が増えています。その意味で、乳房再建手術には乳がん治療の“第三の選択肢”としての重要な意義があるといえます。患者さんが見た目にも美しく乳がんを治したいと望むのは決して贅沢なことではなく、むしろ当然の権利。そしてすべての患者さんには、等しく乳房再建手術を受ける機会が与えられるべきです。
今後は保険適用対象となるインプラントの種類も増え、手術を手がける医師や施設も拡大していきますから、より多くの患者さんたちに乳房再建手術のチャンスが広がっていきます。それだけに、患者さんたちもインターネットや患者会などを通じて積極的に情報を集め、また複数の医師の見解を聞くことで、ぜひ納得のいく再建手術を受けていただきたいと思います。実際に医師に相談してみて疑問や不安があれば、どんどん医師にぶつけてみてください。
私自身、乳房再建手術において高度な技術を提供できる後進たちの育成や拠点の充実にも長らく力を注いできました。これからも女性たちの健康で美しい乳房のために、乳腺外科から美容を含む形成外科まで、幅広くかつ最新の医療技術を提供し続けていきたい考えです。
(取材:2013年8月)
名称 | ナグモクリニック | ||
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所在地 | ナグモクリニック東京院:〒141-0032 東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー 1F | ||
診察時間 | ナグモクリニック東京院:月木金、福岡院:火、大阪院:水、名古屋院:土(月2回)、 札幌院:日(月1回) 受付9:30~18:00(完全予約制) ※豊見城中央病院は年4回程度 ※2013年8月現在の情報です。受診される際は病院にご確認ください。 | ||
休診日 | 日曜日 | ||
TEL | 03-3490-0555 | ||
URL | http://www.nagumo.or.jp/ |