「再建してみて、女性にとっていかに乳房が大切かを実感しています」
長野県 FYさん(49歳)
手術方式 : 「一次一期再建」(乳がん手術と同時に自家組織で再建)
・乳がん手術 : 2014年1月 左乳房皮下乳腺全摘
信州大学医学部附属病院
診察・前野一真医師、執刀・伊藤研一医師
・乳房再建手術 : 2014年1月 乳がん手術と同時に自家組織(穿通枝皮弁法)による再建
執刀・信州大学医学部附属病院 安永能周医師
術前治療 : なし
術後治療 : ホルモン剤(ノルバデックス5年間、リュープリン2年間)
手術と入院が短期ですむインプラントでの手術を希望していましたが・・・
市から定期健診の案内が届き、「そういえば3年くらい乳がん検診を受けていなかったっけ…」と気づいて受診したのが2013年9月のことでした。以前にも検診で2回ほど診ていただいていた先生が、触診と超音波の画像を見ながら、「こんなのあったけ?」と一言。そこには自分でもまったく気づくことのなかった小さな陰が映っていました。
すぐに紹介された先でMRIと細胞診を受け、ステージ0期の非浸潤がんと告知されました。さすがにそのときはショックが大きく、夫も言葉を失っていましたが、先生から「早期でリンパ節転移もない。若いのだから取ってしまって再建すれば?」とおっしゃっていただき、ほとんど迷うことなく再建を決意していました。
乳房再建まで行うなら…という知人たちの勧めもあって、信州大学医学部の附属病院を受診。先生方のスケジュールと手術室の空きの関係もあり、乳がん切除と乳房再建を同日に行う”一次一期再建”で手術を受けることになりました。乳房再建に関しては自分でも色々な資料に目を通し、できれば仕事にも早く復帰したかったので、手術時間や入院期間が短くてすむインプラントでの再建をと考えていました。
「自家組織での再建が向いている」という先生の言葉の通りでした
ところが当初の私の希望に対して、形成外科の主治医である安永先生が示されたのは、「乳頭は取らざるを得ないが、胸の皮膚は全部使えるし、自家組織を使った再建のほうが左右バランスのとれたきれいな乳房ができる」というお考えでした。私の乳房の形や大きさなどからみて、インプラントよりも腹部の脂肪を使う手術のほうが適しているとのことだったので、その通りお任せすることにしました。
乳がん切除に続いてすぐ乳房再建を行うため、手術は12時間以上。入院も2週間を要しましたが、退院して初めて自分の胸を鏡に映してみたときは、あまりに自然できれいな乳房が目の前にあって、本当に嬉しかったのを覚えています。前かがみになったときの形もすごく自然で、つくづく先生のお勧めに従ってよかったと実感することができました。
乳頭の再建も考えないわけではなかったのですが、これ以上の手術に気が進まなかったこともあり、既成の人工ニップルを購入。装着しても見た目にほとんど違和感はありませんし、日ごろ乳頭がなくて困ることは特にないので、これから家族や友達と温泉に行くときなどに大いに活躍してもらうつもりです。
いまではワイヤー入りのブラジャーも普通に身につけられます
退院後1か月くらいはお腹の傷がつっぱるので、上を向いて休むことができず、しばらくは首が凝って困りましたが、不具合といえばそれくらいのもの。しばらくは寝るときもユニクロのブラトップと腹帯で胸と腹部を軽く締めておくよう勧められていましたが、いまでは普通のワイヤー入りのブラジャーも着けられますし、日常生活で困ることはほとんどありません。
ただ脂肪細胞を移植しているため、体が太ると左乳房もそれにつれて大きくなるそうなので、太らないように注意しなくてはいけません。何といっても乳がんを経験したのですから、これからも日常生活にはしっかり気を付けていきたいと思っています。乳房再建手術を受けてしみじみ感じるのは、両胸のふくらみが普通に揃っているということが、女性にとってどれほど重要かということです。きれいで自然な胸を作ってくださった先生方には心から感謝しています。
*インタビュー記事は個人の体験談に基づく感想で、E-BeCで推奨するものではありません。体験談は再建を考える際の参考にしていただき、主治医や医療者とよく相談をして決めるようにしてください。
(取材:2014年5月31日)