「さまざまな術式をきちんと説明してくれる医師のもとを訪ねることが大切です」冨田興一医師
冨田興一(とみたこういち)近畿大学病院 形成外科
術式 :
・自家組織 (広背筋皮弁+脂肪注入、広背筋皮弁、穿通枝皮弁:ドナーは腹部・大腿部)
・シリコンインプラント
・乳房縮小術に準じた乳房再建(温存再建)
連携病院 : 関西メディカル病院(金曜午後)
標準手術時間 :
・広背筋皮弁+脂肪注入3~4時間、広背筋皮弁 2.5時間、 穿通枝皮弁 6~8時間
・エキスパンダー/インプラント挿入 各1時間
※脂肪注入併用の場合1.5時間
・乳房縮小に準じた再建 乳房温存手術+1~1.5時間
標準入院日数 :
・広背筋皮弁+脂肪注入 10日、広背筋皮弁 10日、穿通枝皮弁 10日~2週間
・エキスパンダー挿入(一次再建)10日~2週間、インプラント入れ替え 1週間
・乳房縮小に準じた再建 1週間
乳頭・乳輪形成 : 実施は再建手術の3カ月後以降が目安
※健側からの移植、局所の皮膚の立ち上げ(皮弁法)など
乳房再建手術の方法はどんどん進歩し多様化しています
ここ数年ほどの間に乳房再建手術の技術は格段に向上し、患者さんにとっても選択肢の幅が大きく広がってきました。複数の手術方法を組み合わせることもあり、本人が希望される手術方法以外にも、さまざまな選択肢を提示できるようになりました。
たとえば、私が最近力を入れるようになった「脂肪注入を併用した広背筋皮弁」による再建では、背中に傷を作ることなく広背筋皮弁に脂肪を注入することで、ボリュームのある胸を再建することができ、患者さんからも好評を得ています。まだこの方法での再建は一般的ではありませんが、今後広まっていけばと思っています。
いずれにしても、再建をお考えになる方たちには、多岐にわたる再建方法についてきちんと説明してくれる医師のもとを訪ね、信頼関係を結んだうえで手術に臨んでいただきたいと思っています。
まずは正しい理解から。乳房再建手術はいつでも受けることができます
2019年にアラガン社のシリコンインプラントリコール問題がありましたが、その後新しいインプラントが保険適用となり、再建を望まれる患者さんたちはますます増えています。メディアでの紹介や各地で開催されるセミナーなど、患者さんたちが情報を得る機会も広がり、なかには70歳を過ぎて「20年以上も再建できることを知らずにいた」といって来られる方もおられます。
ただ情報があふれている分、豊富に知識を身につけて来る人と、そうでない人の格差が開いているのを実感します。ほとんど知識のない方には、考えられる選択肢をできるだけ幅広く提示することから始め、豊富な知識を持っている人には、適切に情報整理を図りながら、その方に最も適した術式を一緒に絞り込んでいくように心がけています。
迷ってしまってすぐ結論が出せないという場合もあるでしょう。でも、乳がん手術が適切に行われてさえいれば、乳房再建はいつでも行うことができます。即断を焦る必要はありませんから、ゆっくりと二次再建の機会を考えるようにしてください。
技術レベルの向上こそが患者さんの期待に応えることにつながります
乳房再建は、出来上がりに対する患者さんの期待度がきわめて高く、形成外科医にとっても取り組みがいのある手術です。私たちもさらに技術レベルを高め、より美しく、より患者さんに負担の少ない手術を実現していくことが、患者さんたちの思いに応えていくことだと考えています。
最近では、3Dイメージング・プリンタを駆使した精度の高い型取り法を開発し、アメリカの形成外科学会でも反響をいただきました。これは穿通枝皮弁法で手術を行うにあたって、シリコンで患者さんの乳房の型を取り、その型に合わせて移植用の皮弁(脂肪組織)の形を整える方法をさらに進めたもので、コンピュータの3Dソフトで再建乳房のイメージデータを作成し、それをもとに3Dプリンタで樹脂製の型を出力する方法です。
穿通枝皮弁法は、高度に熟練した医師の勘と技術が必要とされる術式ですが、この方法なら採取する皮弁の量や血管の数を術前に正確に測ることができ、手術に要する時間がかなり短縮できるため、患者さんの肉体的負担の軽減につながります。3Dプリンタは人工骨などの分野への導入が進みつつありますが、軟部組織に用いる例はまだほとんどありません。型取りのコストも非常に安価なので、今後うまく普及を図ることで、穿通枝皮弁法の技術レベルの底上げにつながっていけばと期待しています。
(取材:2015年7月、2023年4月更新)
名称 | 近畿大学病院 形成外科 | ||
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所在地 | 〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2 | ||
診察時間 | 月曜日(初診・再診) ※2023年4月現在の情報です。受診される際は病院にご確認ください。 | ||
休診日 | 土曜・日曜・祝日 大学創立記念日(11月5日) 年末年始(12月29日~1月3日) | ||
TEL | 072-366-0221(代表) | ||
URL | https://www.med.kindai.ac.jp/departments_and_centers/internal_medicine/18phastic_and_reconstructive_surgery.html |