写真集『いのちの乳房』
少し前になりますが、VoCE2019年1月号増刊に写真集『いのちの乳房 -乳がんによる「乳房再建手術」にのぞんだ19人』のことが掲載されていました。
これを知ったときに「え?! かれこれ9年前に出版した写真集がなんで今?」とビックリ。
E-BeCの活動はこの写真集の出版をきっかけに始まった、まさに私たちの原点なのです。
この写真を撮ってくださったアラーキーこと荒木経惟さんのエッセイ「愛の説明2」が毎月VoCEに連載されていて、私も時々読んでいます。そのエッセイのなかでで荒木さんが取り上げてくださったもので、タイトルは「〝がん〟がくれる希望」。
「がんていうのは、精神の絶望じゃなくて、言ってみれば肉体の絶望だから。〝病は気から〟なんていうけど、気持ちではどうにもならない絶望を身体が抱え込んだときに、人間は、生に対する感受性が強くなるのかもしれない。だからそれまで当たり前に思っていたものに感謝したり、自分の中にある、人間らしい〝情〟に目覚めるのかもしれない。」
「がんという絶望を一度は受け入れて、〝この身体で生きていく〟って決意した女には、一種の神々しさがある。笑顔にはいろんな種類があるんだけど、ただ楽しいとか嬉しいとか、そういうシンプルな心の動感が顔に出るだけじゃないんだよ。もちろん、彼女たちは積極的に病気になったわけじゃない。でも今この肉体を、時間を「天からのもらいものかもしれない」ってふと思う瞬間があって、自分で天からこの肉体を呼んだような気持ちになっていたとしたらさ、それは、どう考えても女神だろう(笑)。だから、ここに写っている笑顔は、女神の微笑みなの!」
なんて素敵な言葉なんでしょう!
これらの言葉が私にとても響いてご紹介しましたが、見開き2Pに書かれている荒木さんの言葉すべてが、読む人それぞれににいろいろなかたちで響くのだろうと思います。
機会があれば是非読んで下さい。
VoCE2019年1月号増刊(講談社)より